第18回 全日本ソフトテニス 王座決定戦 観戦記

 


 今年で18回目となる王座決定戦が、11月16日(日) 神戸ポートアイランドホールで開催さ
れた。
 今年は、男女とも実業団・大学・高校の各全日本選手権優勝チームと兵庫県ソ
フトテニス連盟推薦1チームの計4チームによるトーナメント形式の試合となっ
た。王座決定トーナメントの合間には地元兵庫の小・中学生を中心としたエキジビションマッチ
と神戸市立玉津中学校吹奏楽部(H9年度 全日本マーチングフェスティバル全国大会 関西代
表)によるマーチングが行われ、大会に華を添えた。

 男子1回戦 川口市役所(全日本実業団優勝) 対 高田商業高校(インターハイ優
勝)では第1試合 両チームにとって牽引車となる 澤田・土師組 と 東・庄野
組の対戦となった。序盤、東・正野組果敢に攻めるもミスが多く、澤田・土師組
が社会人らしくいなして G3-1とリード、ここから高商ペアしっかり攻めてファイナル
ヘ。終始攻めの姿勢を崩さなかった東・正野組が 7-3 で先勝。続く第2試合は、
接戦ながらも 川口市役所 北原・中村組が 渡部・原田組をファイナル 7-3 で下す。
決勝進出のかかった第3試合では、高商 石川・曽奈組がG2-0とリード。小山・濱
田組も思いきった攻めで追いすがるが、終始優勢に試合を進めた 石川組が 4-2
で勝って高田商業高校が決勝進出を決めた。終始自分たちのテニスをしきった高
商に対して、川口市役所は不完全燃焼に終った感があった。
 もう一つの対戦は、法政大学(インカレ優勝) 対 大阪商業大学(連盟推薦)で、
インカレ決勝の再現となった。第1試合 渡部・矢口組 と 岡村・村上組の対戦は
序盤からもつれてG2-2 となるが追いついた形の岡村組が8ポイント連取して大商大
が先勝した。このペアで関西学生インドアも優勝しており、好調を持続していた。続
く第2試合では、インカレ個人優勝の 伊藤・川又組と大商大の大将 岩永・三原組の
対戦となった。伊藤はサーブ・ストロークに力強さを見せたがストロークが安定せずG0-2とリー
ドされるが、数少ないポイントを川又のボレーでものにしてG2-2と追いついた。しか
し後半になってもミスの多い伊藤組に対して岩永組は積極的ながら安定したプレー
を持続し、4-2で勝って決勝進出をきめた。第3試合は、法政 山田・冨田組が調
子に乗りきれない宮崎・小林組を終始圧倒し4-1で勝って一矢を報いた。
 決勝と同時進行で行われた3位決定戦第1試合は、法政 井伊・牛田組が粘り強
いロブで流れを掴みG3-1とリードするも、北原・濱田組がここ一番でポイントを重ねて
追いつき、ファイナル 7-3 で先勝。第2試合 法政 伊藤・川又組 対 澤田・土師組
は、ミスが多いながらも両者譲らずG2-2となったが後半は、今一つ調子に乗りき
れない澤田が積極的に攻めるもミスが多く、伊藤組が4-2で勝った。3番勝負は、
川口 青木・中村組、法政 山田・冨田組ともに凡ミスが目立ち、山田組がG3-2とリー
ド。このままいくかと思われたがマッチで山田が攻めたボールを中村がストップ、ここで
流れが変わってファイナルは最後思い切って攻めた青木組が7-5で勝ち、川口市役所が
3位入賞を果たした。
 決勝は、インカレの雪辱を果たした大阪商大と大応援団を擁し波に乗る高田商業高
校の対戦となった。第1試合は岡村・村上組(商大) 対 東・正野組(高商)
で、序盤から岡村組のペースで進みG3-0とリードした。東組も果敢に攻めて対抗する
も、常に先手を取った岡村組の完勝に終った。岡村の思いきったストロークと村上の
長身を生かしたそつのないプレーが印象に残った。続く第2試合岩永・三原組 対
渡部・原田組の対戦となったが、後のない高商 渡部組がチャンスボールをきっちり攻
めてG1-0とリードするも、岩永組は安定したプレーでG2-1と逆転する。渡辺組なんと
かG2-2に追いついたが、ここから岩永組が要所を押さえて貫禄勝ち。大阪商業大
学の団体日本一が決定した。

 女子1回戦 ナガセケンコー(実業団優勝) 対 中村学園(インターハイ優勝)は、まさに社
会人 対 高校生という両者の特徴がプレーに顕著に表れた試合であった。第1試合
( 石川・奥 対 坂下・田中)第2試合(上沢・八谷 対 神園・柳) とも 中村学園
 思い切ったプレーで向かっていくも、ナガセケンコーが派手さはないものの確実なプレー
で要所を押さえ、社会人チャンピオンの貫禄を見せて 4-0、 4-0で決勝進出を決め
た。第3試合では中村学園 玉泉・前原組が 河野・古澤組を4-1で下し、一矢
を報いた。河野のミスに助けられた感もあったが、高校生らしい勢いのあるプレーを
見せてくれた。
 隣のコートの1回戦は、東芝姫路(連盟推薦)と 青山学院大学(インカレ優勝)
の対戦であった。 第1戦目 チャンピオン 山際・杉野組がうまいボール回しと思いきっ
た動きで G3-1とリードするが、ここから東芝 菅・砂本(佐)組が粘りを見せ、長
いラリーの中から少ないチャンスを確実にものにして追いつき、ファイナル 7-2 で先勝。続
く2戦目は、青山学院 東・粟村組が思いきった攻めを見せて皇后杯チャンピオン 砂
本(葉)・宮地組を4-1で下し、勝敗は3番勝負に持ちこされた。山本・坂井組
(青山学院) 川島・岡本組(東芝)とも勝敗を意識してか、お互いのミスでゲームが進
んだが、競ったゲームをものにした山本組が4-1で押し切り、青山学院大学が決
勝に駒を進めた。
 3位決定戦では、一試合目硬さの見えた中村学園の動きががぜんよくなった。
第1試合 (玉泉・前川 対 菅・砂本)第2試合(坂下・田中 対 砂本・宮地)と
も、打つ・あげるとメリハリのあるプレーで観客を沸かせたが、そこは経験豊富な東芝
姫路 菅組、砂本組とも4-3、4-2で勝って3位入賞を果たした。
 決勝は、全日本王座決定戦にふさわしい内容の濃いものであった。1試合目
青学 東・粟村組が競った1ゲーム目を奪い、その勢いでG2-0とリードするが、石川・
奥組も食い下がりG2-2に追いつく。ここから東組に流れが傾き、4-2で青山学院
が先勝。第2試合でも、1ポイント1ポイントが重く、長期戦に持ち込まれたが、流れ
を掴んだ ナガセ 上沢・八谷組が4-0で山際・杉野組を下した。優勝を決める3番
勝負は、東芝に勝って波に乗る 山本・坂井組がG1-0とリードする。ここからナガセ
河野が打ち古澤がロブを追うという積極的な攻撃を展開、ミスはあったもののG1-1
に追いついた。次第に流れを引き寄せた河野組が山本組を4-1で下して、ナガセケン
コーが12年ぶり2度目の優勝を果たした。

今大会は参加チーム数を厳選しトーナメント形式で行なわれたため、緊張する緒戦がい
きなり準決勝となり、特に上位チームにはプレッシャーとなった。そんな中で技術
面はもちろん精神的な部分で自分たちの力を発揮した大阪商業大学、ナガセケンコーが
見事 団体日本一に輝いた。このようにレベルの高い試合でもメンタルな部分が勝
敗を大きく左右していることを痛感させる大会であった。

 

兵庫県ソフトテニス連盟